ひとつの歌
杉田協士監督の「ひとつの歌」を観ました。
名古屋シネマテークにて。
名古屋での上映は終了したあとですが、やっと自分の中でまとまってきたので、残しておこうと思います。
(広義でのネタバレになることもあるかもしれないので、今後まっさらなままで観たいという方は読まないでくださいね。)
とにかく、台詞の少ない映画です。
冒頭は、街中を走っていくバイクを見ながら、自動車教習所で見せられた事故再現映画を連想して、不穏な気持ちに。
そこから枡野浩一さんが演じる怪しい男が振り返るシーンまで、緊張感が続きます。
しばらくは話がどう動いていくのか分からなくて、明るい庭での他愛ない会話さえ、裏に何かあるんじゃないかと疑ってしまったりして、疲れる感じもありました。
「つらいな」が重くなってきたところで、ヒロインが登場して、時間が動き始めます。
女優・石坂友里さんのきれいさ(それも芯からというか、骨からきれいそうな感じ)や、彼女の使ったヘルメット・洋服の可愛さは、まさに華。
ストーリーも、噂で聞いていたほど分かりにくいとは、私は思いませんでした。
正解ではないかもしれないけど、私なりに繋がったし。
それでも緊張感は最後まで続きました。
それは私だけかもしれません。これまで、台詞はもちろん、BGMまでが感情を誘導してくれるような映画ばかり観てきているから。
「ひとつの歌」はそういうものがなく、その代わり絵としては情報量が多かったように思います。それを自分がどう感じるか、常に自分と向き合いながら観るので、緊張するのでした。
だから、涙のシーンにはむしろ救われました。
この映画の中では2回、人が泣きますが、一緒に悲しくなるというよりは、ホッと肩の力が抜けるような気持ちになりました。
泣くということが、とても自然なことだったから。頭でなく、気持ちで受け止められるシーンだったから。
この映画のレビューを追ってみると、何回か観ると分かるとか、何回も観たいというものが多いようですが、私ももう一度観たかったと思っています。
正直、最初は、上映後に体験したトークショーやワークショップの興奮のほうが大きかったのです。でも3日・4日と経つうちに、映画の中のいろんな絵が自分の中にはっきり残ってきて、その数が今まで観た映画より断然多いのでした。
あんなに緊張しながら見つめたのだから当然、なのでしょうか。それとも違う理由なのか。知りたい。
次は、もう少し登場人物に寄り添って、一緒に泣いたりできるかもしれないし。
同行した友人は、考えるよりヴィジュアルを楽しんだそうです。杉田監督の写真が好きなので、できるならそれもやってみたかった。
今回結局それは叶わなかったけれど、映画を観て、その監督にお会いするというのは、特別な体験でした。
映画通でもない私は、枡野さんが出演していなかったら、この映画のタイトルさえ知らずにいたかもしれません。枡野さんを知り、短歌を好きになり、そのご縁からここまで運ばれるなんて、不思議なことだと思います。
本や映画を、世界を覗くための窓にたとえたりするけど、今回の窓は大きくて。映画に関して、新しい目を持てるようになった、としたらいいなあ。
ちなみに、杉田監督はまっすぐな感じの素敵な方でした。お会いしたら誰でもファンになってしまうような。
もし今後の上映場所でイベントがあったら、可能な方は、参加してみることをおすすめします。
名古屋シネマテークにて。
名古屋での上映は終了したあとですが、やっと自分の中でまとまってきたので、残しておこうと思います。
(広義でのネタバレになることもあるかもしれないので、今後まっさらなままで観たいという方は読まないでくださいね。)
とにかく、台詞の少ない映画です。
冒頭は、街中を走っていくバイクを見ながら、自動車教習所で見せられた事故再現映画を連想して、不穏な気持ちに。
そこから枡野浩一さんが演じる怪しい男が振り返るシーンまで、緊張感が続きます。
しばらくは話がどう動いていくのか分からなくて、明るい庭での他愛ない会話さえ、裏に何かあるんじゃないかと疑ってしまったりして、疲れる感じもありました。
「つらいな」が重くなってきたところで、ヒロインが登場して、時間が動き始めます。
女優・石坂友里さんのきれいさ(それも芯からというか、骨からきれいそうな感じ)や、彼女の使ったヘルメット・洋服の可愛さは、まさに華。
ストーリーも、噂で聞いていたほど分かりにくいとは、私は思いませんでした。
正解ではないかもしれないけど、私なりに繋がったし。
それでも緊張感は最後まで続きました。
それは私だけかもしれません。これまで、台詞はもちろん、BGMまでが感情を誘導してくれるような映画ばかり観てきているから。
「ひとつの歌」はそういうものがなく、その代わり絵としては情報量が多かったように思います。それを自分がどう感じるか、常に自分と向き合いながら観るので、緊張するのでした。
だから、涙のシーンにはむしろ救われました。
この映画の中では2回、人が泣きますが、一緒に悲しくなるというよりは、ホッと肩の力が抜けるような気持ちになりました。
泣くということが、とても自然なことだったから。頭でなく、気持ちで受け止められるシーンだったから。
この映画のレビューを追ってみると、何回か観ると分かるとか、何回も観たいというものが多いようですが、私ももう一度観たかったと思っています。
正直、最初は、上映後に体験したトークショーやワークショップの興奮のほうが大きかったのです。でも3日・4日と経つうちに、映画の中のいろんな絵が自分の中にはっきり残ってきて、その数が今まで観た映画より断然多いのでした。
あんなに緊張しながら見つめたのだから当然、なのでしょうか。それとも違う理由なのか。知りたい。
次は、もう少し登場人物に寄り添って、一緒に泣いたりできるかもしれないし。
同行した友人は、考えるよりヴィジュアルを楽しんだそうです。杉田監督の写真が好きなので、できるならそれもやってみたかった。
今回結局それは叶わなかったけれど、映画を観て、その監督にお会いするというのは、特別な体験でした。
映画通でもない私は、枡野さんが出演していなかったら、この映画のタイトルさえ知らずにいたかもしれません。枡野さんを知り、短歌を好きになり、そのご縁からここまで運ばれるなんて、不思議なことだと思います。
本や映画を、世界を覗くための窓にたとえたりするけど、今回の窓は大きくて。映画に関して、新しい目を持てるようになった、としたらいいなあ。
ちなみに、杉田監督はまっすぐな感じの素敵な方でした。お会いしたら誰でもファンになってしまうような。
もし今後の上映場所でイベントがあったら、可能な方は、参加してみることをおすすめします。
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by kisaragiuta
| 2012-11-10 16:09
| その他
くじけな
枡野浩一さんがツイッターで呟かれていた詩が、本になりました。
ツイッターのときから大好きだったけど、こうして本になって本当に嬉しい。
ちゃんと改行されていることで、詩がさらに心に響く。
後藤グミさんの挿絵もすばらしい。
加えて、紙の感じや色、絶妙なサイズ・・・・・・
そういったもの全部があいまって、「本」の魅力になるのだと
改めて認識させられました。
敷居はちっとも高くない。お財布にも優しい価格。
だけど乱暴に扱うことができなくなってしまう本。
この先何度も読み返すのだろうと思います。
くじけな、というタイトルにいろんな反応があるようですが
人は「くじけな」と言われて折れたりはしない。
(ありがとう、と言ってひと晩くじけるかもしれないけど。)
折れてしまうのは、むしろ悪いタイミングで「くじけるな」って言われたときじゃないかしら。
というのが私の意見です。
この本の帯に、私の感想ツイートも載せていただきました。
ブルボン小林さんのすぐ後に、私というただの(主婦)の名前!
それがツイッターというものだ、ということかもしれませんが
ほえ~~と口空いて見つめてしまった私です。
ツイッターのときから大好きだったけど、こうして本になって本当に嬉しい。
ちゃんと改行されていることで、詩がさらに心に響く。
後藤グミさんの挿絵もすばらしい。
加えて、紙の感じや色、絶妙なサイズ・・・・・・
そういったもの全部があいまって、「本」の魅力になるのだと
改めて認識させられました。
敷居はちっとも高くない。お財布にも優しい価格。
だけど乱暴に扱うことができなくなってしまう本。
この先何度も読み返すのだろうと思います。
くじけな、というタイトルにいろんな反応があるようですが
人は「くじけな」と言われて折れたりはしない。
(ありがとう、と言ってひと晩くじけるかもしれないけど。)
折れてしまうのは、むしろ悪いタイミングで「くじけるな」って言われたときじゃないかしら。
というのが私の意見です。
この本の帯に、私の感想ツイートも載せていただきました。
ブルボン小林さんのすぐ後に、私というただの(主婦)の名前!
それがツイッターというものだ、ということかもしれませんが
ほえ~~と口空いて見つめてしまった私です。
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by kisaragiuta
| 2011-06-21 12:21
| その他